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2024.04.16

ニスコ進学スクール 平岡中央教室

悩み相談コーナー② ~地理、難しくないですか?~

 こんにちは、教室担当の小中谷です。

 先日、「先生、聞いてください。社会は暗記科目、って大人は言うんです。暗記って簡単にいうけれど、覚えられません。どうしたらいいですか?」という質問がありました。

その疑問にお答えしましょう!いろいろな視点から考察してみますね。

●中学の勉強、とくに英語と社会が難しい!

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 このデータは「各科目の授業を聞いて、自分は理解できていると思いますか」という質問に対し、「理解できている」と回答した小、中学生の割合を示すものです。中学生男子は文系科目が、それに対し女子は英語、理科そして社会が理解できていないと感じているようです。英語は外国語ですので「難しい」と感じるのは保護者様も生徒さんも納得されるのではないでしょうか。しかし、社会については「え?暗記科目だから点数、とれるでしょ?」と疑問に思われるでしょう。

 

●地理を学ばせる意味

 社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動を通して、広い視野に立ち、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。(平成29年告示、学習指導要領より)

 

●資質・能力の基礎とは?(以下要約)

(1)日本だけでなく世界の諸地域の事象、地域的特色を理解、調査や諸資料から様々な情報を効果的に調べまとめる技能。

(2)人間と自然環境との相互依存関係、空間的相互依存作用、地域などに着目し、

多面的、多角的に考察、それら問題の解決に向け、公正に選択、判断、さらにそれらの根拠を説明する力。

(3)多面的、多角的な考察や深い理解を通し、国土に対する愛情、世界の多様な生活文化を尊重する態度。

 

 文部科学省の指導要領には、丸暗記とは一言もふれられていません。多面的、多角的、という言葉が複数回登場します。多面的、多角的とは、「様々な面、角度から視点を変えてものごとを見る」という意味です。

●丸暗記では太刀打ちできない、「多面的、多角的」な考察

 かつての高校入試社会は知識を問うものが多く、令和3年度までの平均点も6割から7割の間ぐらいものでした。しかし、令和4年度入試では52.9点と6割を下回り、昨年度令和5年度では前年をさらに下回り41.0点、5割を切り4割台、その4割も下回りそうな勢いです。今年度の平均点は未発表ですが、昨年と同程度かそれよりやや難しいとの評価がありますので、40点前後ぐらいになるのではないかと予想されます。

 ところで多面的、多角的な考察について皆さまに考えていただきたく、次の問題にチャレンジしてみましょう!

 

問題1、米作りに欠かせない条件を2つ、答えなさい。

   1            2           

 

問題2、日本における米の生産量(令和4年)は、以下のとおりである。

 第1位  新潟県 63.1万トン

 第2位  北海道 55.3万トン

 第3位  秋田県 45.6万トン

 第4位  山形県 36.5万トン

 第5位  宮城県 32.6万トン

 第6位  茨城県 31.9万トン

 第7位  福島県 31.7万トン

 第8位  栃木県 27.0万トン

 第9位  千葉県 25.9万トン

 第10位 岩手県 24.7万トン

 上位10道県のうち、第1位から第4位の共通点を答えなさい。また、それはなぜか。日照時間という言葉を用い、各地域の気候条件をふまえて説明しなさい。

 

〔問題1解説〕

①米はもともと熱帯性の植物ですので、「高温」を好みます。

②もう一つは「水」、どちらかというと「冷たい水」を好みます。我々人間も、ぬるま湯よりも冷たい水を好むのと同じですね。

 

〔問題2解説〕

問題1は、米という植物がどんなものであるか、思い浮かべれば解ける問題です。しかし、問題2はそうもいきません。最初の問ですが、日本地図を思い浮かべましょう。新潟、北海道、秋田、山形は全て「日本海側」に面しています。

 さらに「日照時間」というワードと「日本海側」を結び付けて思考できるかどうか。ここで、奥羽山脈を挟んだ日本海側と反対側、太平洋の気候を比較する必要があります。

 米は5月から9月が生育期間になります。日光にさらされている時間が長ければ長いほど、米にとっては好都合。

 さて、この5月から9月、つまり夏の期間は季節風が東から吹いてきます。太平洋側の宮城県、岩手県の沖には寒流である親潮(千島海流)が流れています。その上の冷たい空気を、東から吹く季節風が宮城県や岩手県に吹いてくると、霧が発生します。霧によって日光が遮られてしまい、日照時間が短くなってしまいます。そのため、太平洋側よりも日本海側の方が、日照時間が長く稲の生育に向いているといえるのです。日本海側と太平洋側を「対比」して説明できれば、正解にたどり着けます。

(模範解答)

 上位4道県は全て日本海側に面している。太平洋側は夏の間、東から吹く季節風が、親潮の上の冷たい空気を運ぶため、気温差により霧が発生、日照時間が短くなる。そのため、太平洋側よりも日本海側の方が、米の生産により適しているといえるから。

 

●知識をつなげにつなげて解く、これが地理!

 例題の意図はお分かりいただけたでしょうか?丸暗記ではとけませんよね?知識だけでなく、地図、地形、気候、データなどありとあらゆる面からアプローチする問題が増えているのです。まさに多面的、多角的に捉える力が必要なのです。

 かつては暗記科目だったかもしれません。しかし、今の地理はちがいます。暗記だけではとけないのです。平均点がどんどん下がっているのは、こういった知識をつなげて、説明させる「記述問題が増えている」からなのです。

※地理学習のコツ

〔基礎〕 諸地域の主要な都市、平野、河川、山地山脈など地図情報のインプット。

〔基本〕 基本用語の理解。

〔応用〕 基礎と基本をつなげ、まとめる力をつける。

 

●小学生から対策が必要!とくに国語力!

 また、最近の入試は文章量がどんどん増えています。その中から的確に情報を拾い、まとめる力が必要です。国語でも資料を読み取り、記述する問題が取り入れられています。そこで、平岡中央教室では、毎週必ず国語表現演習を行っております。

 また、地理の知識は身の回りのことに関心をもつことから始まります。自分が食べているものはどこから来るのだろう(この質問をしたら、「お店!」と答えられてしまいました)など、確かめてみるのもいいでしょう。

●中学生、丸暗記という考えを捨てよう!

 社会の仕上げには時間がかかります。中学1年生、初めての定期試験。もっとも難しい科目は、ずばり「社会」です。全範囲が地理(歴史は出題されたとしても少ない)である可能性が高いでしょう。6大陸3大洋、世界の国々、地図、地球儀、時差、宗教、住居...。丸暗記ではなく、それぞれの項目を理解し時間をかけて定着させましょう。ド●えもんの暗記パンのオチは、「手っ取り早く暗記なんてそんな簡単にできるものではないですよ」なんですよね。一つ一つ丁寧に理解し、定着させましょうね。

 

●さいごに

 この記事を最後まで読んでくださった皆様、地理は丸暗記ではない、ということをお分かりいただけたでしょうか?ニスコ進学スクールで、「多面的」「多角的」にものを見る視点、考える力をつけてみませんか?

最後に東大教授、柳川範之さんの言葉を紹介します。

勉強は加工業、自分の中での"熟成"が大事

〔参考図書〕

柳川範之『東大教授が教える 独学勉強法』(草思社、2017)

永田成文・梅津正美編『365日の全授業 中学校社会 地理的分野』(明治図書、2023)

 

<新学期通常授業 新規生受付中>

 平岡中央中学校の定期試験は6月13日。2カ月を切りました。試験範囲が出てから試験勉強では遅いです。連休明け、すぐ試験対策を始めます。第1回目の定期試験で自己ベストをとり、勢いをつけましょう!

 通常授業の体験、お申し込みは随時承っております。お気軽にお問合せください。

 

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