こんにちは、平岡中央教室担当小中谷です。
目下学年末試験まっさかり!深々と降る窓の雪を見ながらこのコラムを書いております。先ほど、中1塾生からこんな質問がありました。
「朝貢貿易との中継貿易の違いって何ですか?」
-
朝貢貿易とは?
まず、「朝貢貿易」について簡単に説明しましょう。現代社会においては、国と国の関係は「対等」であるのが原則です。しかし、昔は違います。国と国との間に「上下関係」がありました。以前の東アジア世界ではは、中国が上位でその他の国はその風下にたつというものでした。周辺諸国は中国の歴代王朝に莫大な貢物と使者を派遣し(朝貢)、その見返りに国王に任じてもらい(冊封)、また貢物の何倍もの物品を与えられたのでした。
ただし、現代の貿易とは違い、いつでも貿易ができるわけではありません。実は朝貢貿易には、中国側が決める「貢期」というものがありました。みなさんに想像していただきたいのですが、相手からお土産をもらったらその何倍もの品物を返さなければならないとします。しかも、複数の相手にです。負担、大きいですよね。経済的な負担を軽減するために朝貢してきた国に対して「3年に1回」のペースで中国に来るように伝えていたのです。以上が朝貢貿易のおおまかな内容です。
-
朝貢貿易、例外の国「琉球王国」
では次に「中継貿易」について簡単に説明しましょう。3年に1回のペースではなく、貢期が決まっていない例外の国がありました。それは「琉球王国」でした。日本が10年に1回だったのとは大違い、琉球王国はかなり優遇されていたのです。
琉球には、中国側がのどから手が出るくらいほしいものがあったのです。それは火薬の原料の一つ「硫黄」です。琉球王国が位置する南西諸島、九州には火山があります。どうも中国では硫黄が採れなかったらしく、輸入に頼るしかありませんでした。14世紀半ばに成立した明はモンゴルを北方に追いやって成立した王朝ですので、その後もモンゴルの侵入に苦しみます。その武器として火砲を用いていたので火薬の原料となる硫黄がどうしても必要だったのです。中国の硫黄需要、琉球が中国に優遇された理由の一つです。
-
なぜ、琉球が中継地点になるのか?
ではみなさん、東アジアの地図を思い浮かべてください。琉球王国はどのような場所に位置しているでしょうか?琉球王国は朝鮮半島、日本、中国からほぼ等距離、そして東南アジアからは黒潮に乗ってくることが出来る、いい感じの場所にあるのです。そういった地政学的な面があげられます。
琉球王国以外の国々は貢期が制限されているため、中国の物品が欲しい時に手に入らない。しかし、貢期の決まっていない琉球王国なら中国の物品が手に入ります。地政学的側面と硫黄需要、琉球王国はこれらによって中継貿易で栄えたのです。
〔参考図書〕
赤嶺守『琉球王国 東アジアのコーナーストーン』(講談社、2004年)
張廷玉ら撰『明史』(中華書局、2003年)
※前回の記事 なぞなぞの答え 「パン」
迷ったので「じゃ~、パンで」(Japan) だいぶ気温が下がったのでこれにて失礼します。
〔さいごに〕
春期講習会の受付が始まりました。既にお申込みもいただき、誠にありがとうございます。学年によっては、20名を超えているコースもありますので、講習会の受講をお考えの方は、お早目にお問合せください。
〇春期講習会概要はこちら
→[ 2025 春期講習会概要 ]
の他、ご不明な点はニスコ本部フリーダイヤル
0120―44-3759までお問い合わせください。
スタッフ一同お待ちしております。