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2023.07.06

ニスコ進学スクール 平岡中央教室

大事を成し遂げるなら志を同じくする仲間を ~19世紀 タイ王国の物語~

こんにちは、平岡中央教室担当の小中谷です。

前回の予告の通り、19世紀西欧列強の植民地にならず独立を維持することができた「タイ王国」のお話をしたいと思います。

その名の通り、タイは「王国」です。タイの歴史を語るには、統治した国王の物語は不可欠です。

【ラーマ4世 在位1851~1868】

現在も続くチャクリー王朝、ラタナコーシン朝ともバンコク朝とも呼ばれます。

その4代目国王がラーマ4世モンクット王。国王に即位する以前は27年間、僧侶として寺院で修行していました。

彼は僧侶生活を送る中で、仏教だけではなく、当時タイを訪れていた西洋人とも盛んに交流し、

英語を習得、さらに科学的な知識も身につけていきます。

国王に即位後、自身の王子たちに西洋式の教育を施します。ラーマ4世の先見の明、この王子たちがタイの近代化に大きく貢献します。

ちなみに、ユル・ブルンナー主演「王様と私」に登場するタイの国王が、ラーマ4世です。

最近、といってももう20年以上前ですが、香港の映画スター、チョウ・ユンファも演じたことがあります。

【ラーマ5世 在位1868~1910】

●国王即位 志を同じくする身内づくり

1868年、ラーマ4世は日食観測のため南タイに出向きますが、かの地でマラリアにかかり、亡くなります。後継者であったチュラロンコン王子もマラリアにかかりますが、一命をとりとめ、第5代国王に即位します。

当時15歳は有力貴族ブンナーク家と従弟の副王の補佐を受けることになります。

1868年といえば、日本で言えば明治元年、日本の近代化が始まった年でもあります。

タイの風習に従い一時出家を終えた1871年、ラーマ5世は近代化に取り掛かり始めます。

しかし...。

従弟の副王、そして有力貴族たちは自らの権益を侵されることを嫌い、国王に反発、とくに従弟の副王との緊張関係はイギリスの介入一歩手前までの事態に。

ラーマ5世は改革を成し遂げるにはことを急いではいけない、そう考え、自分の勢力基盤固めにとりかかります。国王自身と同じように西洋教育を受けた弟、そして自身の子どもたちの成長、そして有力者たちが表舞台から去るのを待ち、改革の機会をうかがいます。

●西洋列強との外交 領土を切り売りしながら...

東南アジアの地図を思い浮かべてください。タイの東隣りにはカンボジア、北東にはラオス、西にはビルマ(現ミャンマー)。カンボジア、ラオスはフランスの植民地、ビルマはイギリスの植民地、タイは東にはフランス、西にはイギリスの脅威を抱えていました。

ラオスやカンボジアは元々タイの領土だった地域でした。

フランスは当時ベトナムを保護国化し、さらに支配領域を広げるべく、タイへ圧力をかけます。

軍事衝突を避けたいラーマ5世はフランスの圧力に屈し、ラオスやカンボジアといった地域を放棄し、チャオプラヤー川流域のタイ領確保に腐心します。

●タイを近代国家へ

イギリスやフランスと渡り合いながらも、ラーマ5世は近代化政策を次々に行っていきます。

奴隷制度の廃止、全国に州を置く、近代的な税制制度、教育制度改革、裁判制度...。

様々な改革を成し遂げたラーマ5世は1910年10月23日に亡くなります。彼の改革は、次の世代を担う王族たちが進めていくことになります。

政治を主導するのは王族のみ...。

西洋式教育を施された庶民たちが政治意識に目覚め、1932年、王族主体の政治を打破することになる「立憲革命」が勃発するのです。

【まとめ】

 大事を成し遂げるには、たった一人では不可能。押し寄せる植民地化の波の中で、ラーマ5世はタイを主権国家として守り抜きます。

しかし、それは西洋式教育を受けた彼自身と彼を支える弟たち、そして息子たちの支えがあってこそ。

とくに、父王が施した英語力が大きな影響を与えたことは否定できないでしょう。

受験勉強もまた、志望校に合格したい!という本人の強い意志、そしてそれを支える保護者、講師、そしてともに学ぶ仲間...。これらがあって初めて成し遂げられるものだと思います。

参考図書

・村嶋英治『現代アジアの肖像9 ピブーン 独立タイ王国の立憲革命』

(岩波書店 1996年)

・石井米雄/桜井由躬雄編『世界各国史5 東南アジア史①大陸部』(山川出版社 1999年)

タイ王国は私にとって、初めての海外滞在でした。見るもの全てが新鮮で、北部へ旅行した際、初めて地平線を目にしました。果てしなく広がるチャオプラヤーの平原、山がまったくない風景、そこから想像したユーラシア大陸の広大さに、私は大きく感動しました。

また、ラーマ5世の在位期間は日本の明治天皇(在位1867年~1912年)の在位期間とほぼ重なるところも興味深いです。ただその歩みは対象的で、日本の近代化は下級武士主導で行われたのに対し、タイでは王族主導の「上からの改革」、この対比もまた興味深いですね。

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